本研究は、特発性正常圧水頭症(iNPH)の典型的三徴である歩行障害・認知機能障害・排尿障害を呈するものの、一般的な診断基準である Evans Index > 0.3 を満たさない Evans Index ≤ 0.3 の症例に焦点を当てた検討です。
タップテストにより症状の改善を確認できた症例では、Evans Index > 0.3 の症例と同様にシャント術後の治療効果が得られることが示されました。さらに、画像診断指標の再検討を行った結果、特発性正常圧水頭症の脳室拡大は縦軸方向に進展する傾向を持つことが明らかとなり、長軸方向のEvans Index(z-Evans Index)が新たな有用な評価指標となり得ることが示唆されました。
本研究は、これまで診断基準を満たさないために治療適応外とされてきた患者群に対して、より適切な診断・治療の可能性を拓く成果となっています。
Optimal Application Indices for Shunt Surgery for Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus with an Evans Index Below 0.3
World Neurosurgery, 203:124494, 2025