科学と技術の両輪に立脚した脳神経外科医

様々な状況のなかで,普遍的な脳神経外科医療を社会に提供できる外科医の育成には,研究や教育を基盤とした科学的な視点の育成が欠かせません.一方,外科医としての力を発揮するには,手術という技術力の獲得も大変重要な要素となります.このような観点から,当教室では「科学と技術の両輪に立脚した脳神経外科医」の育成が臨床教育の方針となっています.

専門医資格取得前の教育方針

一人ひとりの医局員が価値のある働き方をしていけるような育成

専門医の資格を取得するうえで行うべき手術や症例数,論文の執筆などは,効率的に修了できるように研修プログラムを作成しています.当教室にはレベルの高い医療を提供し症例数も多い関連病院が多く揃っているので,専門医資格のための研修は問題なく修了できるでしょう.関連病院への配置決めの際には,医局員全員が多くのトレーニングを平等に経験できるよう,病院内の医局員のバランスを十分考慮して決定しています.また,専門医試験のことだけではなく,将来のサブスペシャリティにも目を向けるようにしています.関連病院ごとに,脳血管障害,てんかん,小児医療などそれぞれに特徴があります.そこで毎年医局員からアンケートと面談で意向調査を行い,それぞれ将来専門にしたい分野へのキャリアプランを見据えて関連病院への配置をしています.面談では本人の希望を聞くだけでなく,サブスペシャリティを見据えたアドバイスも行っています.将来,「一人ひとりの医局員が価値のある働き方をしていけるような育成」を心がけています.フレキシブルな働き方で,プライベートと仕事の両立も図れます.

専門医資格取得後の教育方針

深く専門を追求しながら,広げる意識

専門医取得後は多くの医師が血管内治療や腫瘍といったサブスペシャリティの確立を目指します.その意味では多くの医師が取得する「サブスペシャリティ専門(認定)医」ですが,この専門資格を取得することが当面の目標となっている若手医師が多く,私は多くを学び経験できる時期にそれだけを考えて時間を過ごすことはとても勿体無いと感じています.専門資格を取得するのは一つの通過点に過ぎません.将来,専門家の中でのプレゼンスを高めるためにも,専門領域の違うメンバーのなかでリーダーシップを発揮するためにも,深く,そして広くは大切な要素です.40歳,できれば50歳まで深く専門を追求しながら,広げる意識ももちつづけて欲しいです.

アカデミックマインドと海外留学

医局員には全員に研究に専従する期間や海外留学を経験していただきたいと考えています.アカデミックマインドをもって日々の診療と向き合うことは高いレベルを維持するのに大切ですし,後輩の指導にも欠かせない要素です.また,海外留学は学びだけでなく,医師としての長い人生を一休みする目的としても行っていただきたいと思っています.毎日早朝に病院に来て,手術や診療をして,週末も当直…という生活から完全に離れて,少しぼんやりとする時間は必要です.もちろん,家族がいる方には家族も巻き込んで海外で生活してみてほしいです.そこで新しい体験することは家族の絆を形成するのにとても役立つと思います.欧米を中心として多くの留学先が準備されています.医局員全員に海外留学の機会が与えられるよう,医局としてもさらに体制を整えていきます.

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