脳神経外科専攻(後期臨床研修)

専門医の資格を取得するうえで行うべき手術や症例数,論文の執筆などは,効率的に修了できるように研修プログラムを作成しています.当教室にはレベルの高い医療を提供し症例数も多い関連病院が多く揃っているので専門医資格のための研修は問題なく修了できるでしょう. 関連病院への配置決めの際には, 医局員全員が多くのトレーニングを平等に経験できるよう, 病院内の医局員のバランスを十分考慮して決定しています.

外科的手術技術の習得

最新の3次元ハイビジョンシステム導入

手術顕微鏡の画像を,最新の3次元ハイビジョンシステムによって大画面ディスプレイに表示できるシステムを導入しています. 従来,顕微鏡をのぞいている者しか術野の立体構造が認識できず,これは顕微鏡手術訓練の大きな障壁となっていました. 脳外科手術において,術野の立体構造の認識・学習は極めて重要ですが,このシステムにて,より多くの参加医師も, 術者と同じ立体感覚を認識できるようになっています.

手術ビデオ編集による発表

記録したハイビジョン手術映像を編集し,カンファレンスで全例ビデオプレゼンします.昨今の学会発表は,ビデオプレゼンが中心であり,これらの編集技術を学ぶことは必須となります.また,編集作業によって手順を覚え,顕微鏡下外科解剖も理解できます.

特別頭頸部解剖実習

夏期には,解剖学教室と共同で顕微鏡下外科解剖の実習とおこなっています.実際の手術と同様,手術用顕微鏡やドリル,手術器具を用いて,様々な手術到達法や脳の微小解剖を学びます.顕微鏡を使った脳手術では手技向上のために解剖実習がとても大切です.私自身も,毎年参加しているなかで,解剖実習から得られることがたくさんあることを実感しています.日々の臨床での疑問を解決し,知識を整理し,よりよい診療につながるよう今後もブラッシュアップして開催していきたいと考えています.

顕微鏡手術のトレーニング

技術の習得には,繰り返し行うことが必要です.医局には,off the job training systemとして, 顕微鏡下での血管吻合練習セットがあります.吻合技術は,顕微鏡下手術の基本が含まれており,特にマイクロ初期は重要です.人工チューブや手羽先血管を用いた吻合練習を行い,ある一定の向上を確認した後,実際のマイクロ操作を現場で行います.

学術的知識の習得 Academic Skill Program

マンツーマンでの指導医配置

後期研修医は上級医とチームを組み,原則的にマンツーマンで指導を受けます.画像検査の読影,手術前後の管理,電気生理モニタリングの原理と実際などを指導します.これらの徹底した指導もあり,脳神経外科専門医試験は高い合格率を誇っています.

カンファレンスでの発表

週3回,朝の症例検討会において,症例プレゼンテーションを行います.多くの指導医が考え方や管理の仕方などの指導を行います.

抄読会

毎週月曜日,抄読会を行っています.この中で,研究の背景や結果の解釈の妥当性など,文献情報を正確に把握する力を学びます.

教育セミナー

年間通じて,毎週月曜日抄読会後に,2時間程度行います.後期レジデント向けの各領域担当教室員によるセミナー,教室員の研究経過報告,シニアレジデントの研究報告,全国区の学外講師による最新の話題,などを行っています.疾患についての理解はもちろんのこと,臨床統計の考え方から最新の外科手術にわたる幅広い範囲を把握できます.

学会発表

地域の研究会はもとより,全国規模の学術集会での発表を積極的に行ってもらいます.研究の基本であるIMRAD (Introduction, Material & Method, Result, Discussion) をどう構成し,発表するかを学びます.

基礎研究

  1. 脳悪性腫瘍の病態解析と治療法の開発
  2. 脳虚血の病態解析と治療法の開発,神経再生による損傷脳の機能再建
  3. 脊髄・脊椎疾患の病態解析

実際の研究遂行にあたり,当大学の基礎医学教室や,その他の研究機関とも連携して行っています.学位取得だけでなく,これらの領域の研究を通じて積極的な海外留学の機会も支援しています.一定期間効率よく,集中的に研究を掘り下げられる様,大学院も推奨しています.この期間に,研究計画の立て方・論文の書き方・学会発表・医療統計の実際・論文英語および日常英会話・ 医学に必要なソフトウェアとその使用などの,学術活動に必須な能力の開発にも力を注いでいます.

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