当医局員の三宅茂太先生が留学中の研究成果がSci.Repに掲載されました。
Cerebral proliferative angiopathy(CPA)は、脳内の異常な血管増殖をきたす希少疾患で、主に頭痛やけいれん、虚血症状で発症するとされています。本研究では、Toronto Western hospitalおよびTexas Children’s Hospitalで画像評価されたCPA患者16人のデータを分析し、新しい特徴として頭蓋骨の肥厚を確認しました。16人中7人(43.8%)でこの現象が見られ、特に前頭骨で多く、骨の内側から求心性に骨新生が認められました。また、頭蓋骨の肥厚を認めた患者の多くで静脈うっ滞が見られました。CPAに関する過去の症例検討や類似するシャント疾患・もやもや病との比較を通じて、この骨新生は組織の還流障害・低酸素環境に反応して発現した「VEGF」への長期曝露の結果である可能性が考えられました。
CPAは極めて希少な疾患ではありますが、このような血管以外の組織変化を通じて病態の解明が進む可能性があり、新たな治療法の土台になる可能性があります