横浜市立大学附属病院脳神経外科 高山裕太郎医師(研究発表時は国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)病院脳神経外科)、およびNCNP病院脳神経外科 岩崎真樹部長らの研究グループは、島弁蓋部てんかんに対する新たな治療法としてラジオ波てんかん焦点温熱凝固術(RFTC)を提案し、この方法を用いた治療経験を報告しました。
高山・岩崎らのグループが提案したRFTCは、脳を切除せずに専用の針(プローべ)を目的の脳領域へ向けて正確に刺入し熱凝固することで治療を行います。そのため従来の開頭手術(てんかん焦点切除術)に比べて、患者さんの身体的負担が大きく軽減されることが期待されます。
本研究では、定位的頭蓋内脳波記録(SEEG)で得られた診断結果をもとに、てんかん焦点として疑われる領域全体を標的に治療を行いました。この方法は、Volume-based RFTCと呼ばれ、高い治療効果が期待されています。Volume-based RFTCによって島回のような複雑な形状の脳に対しても柔軟に治療できることが明らかになりました。Volume-based RFTCは、今まで治療が難しいとされてきた島弁蓋部てんかんに対する有効な治療選択肢として期待されます。
本研究成果は日本時間2022年6月14日 13時(米国東部夏時間6月14日0時)に、Operative Neurosurgery誌オンライン版に掲載されました。
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また、横浜市立大学およびNCCPよりプレスリリースとして公表され、多くのメディアにも掲載されました。
横浜市立大学 プレスリリース