研究・論文

広川大輔先生の論文が Pediatric Blood & Cancer に掲載されました

このたび、神奈川県立こども医療センター 脳神経外科 広川大輔先生 を筆頭著者とする研究成果が、国際学術誌 Pediatric Blood & Cancer に掲載されました。

論文情報
Hirokawa D, Tomiyasu M, Sonoda M, Suenaga J, Goto H, Aida N, Yamamoto T.
Metabolite Levels Measured Using Magnetic Resonance Spectroscopy in Pediatric Methotrexate-Induced Leukoencephalopathy.
Pediatr Blood Cancer. 2025 Jul 31; e31957. doi:10.1002/pbc.31957. PMID: 40739908

研究概要
小児急性リンパ性白血病の治療に用いられる抗がん剤メトトレキサート(MTX)は、時に「白質脳症」と呼ばれる脳の障害を引き起こすことがあります。本研究では、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS) という先端的な脳画像技術を用い、白質脳症患者における脳内代謝物質の変化を解析しました。

その結果、N-acetylaspartate(tNAA)の低下が発症と関連し、治療法を変更した後にはtNAAが回復することを明らかにしました。これは、MRSを用いたtNAA測定が、白質脳症の早期診断や回復過程のモニタリングに有望なバイオマーカーとなり得ることを示しています。

社会的意義
白血病治療は多くの子どもたちに命を救う一方で、副作用による神経障害は患者や家族に大きな負担を与えます。本研究は、より安全で質の高い小児がん治療を実現するための重要な一歩であり、将来的には副作用の軽減や個別化医療につながることが期待されます。

今後も当教室では、臨床現場と研究の両面から、小児患者とご家族の生活の質の向上に貢献できるよう努めてまいります。

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