学会・研究会

Harvard大学Cahill教授を招いての講演会開催報告

2025年6月20日(金)、本学福浦キャンパス ヘボンホールにて、横浜市立大学医学会・医学科FD・JPeaks関連事業の一環として、脳神経外科学教室が企画・主催した講演会が開催されました。

今回お招きしたのは、ハーバード大学医学部 教授 / マサチューセッツ総合病院 脳腫瘍外科 主任研究者であるDaniel P. Cahill先生。世界的に著名な神経膠腫研究者であり、臨床・研究・教育のいずれにおいても卓越した実績をお持ちです。当教室の立石健祐准教授の留学時代の指導教官でもあります。

講演タイトル
「IDH mutant glioma development — 自身のキャリア・デベロップメントも含めて —」

講演の第1部では、当教室の大島聡人先生より「IDH変異とは何か」について簡潔なイントロダクションが行われたのち、Cahill先生より、米国で承認されたIDH阻害剤の開発経緯、臨床応用、そして今後の展望についてお話をいただきました。

特に、IDH変異の分子的特徴を理解することで、より個別化された治療戦略が必要になるというメッセージが強調され、薬剤投与の最適なタイミングや腫瘍グレードによる適応の違いなど、臨床医にとって実践的な示唆に富む内容となりました。

続く第2部では、「Right place at the right time」と題して、Cahill先生ご自身のキャリアの軌跡についてご講演いただきました。大学時代の遺伝学研究から、脳神経外科医としての道を選ばれた経緯、そしてIDH変異が発見された2008年に偶然にもIDH変異型腫瘍の手術を担当された経験など、臨床と基礎研究の統合を軸にしたキャリア形成の重要性が語られました。

講演後には多数の質疑応答が交わされ、参加した医師・教官・学生、約50名が活発に議論を交わす、実り多い時間となりました。

本講演は、神経膠腫に対する最先端の分子標的治療に関する知見と、国際的な医学者のキャリア形成に関する貴重な洞察を得る機会となり、本学の医療人材育成および研究推進において大きな一助となりました。

今後も脳神経外科学教室では、世界的な研究者を招いた学術交流の機会を積極的に企画してまいります。

関連記事

TOP