診療案内

診断から治療まで一貫したチーム医療を

横浜市立大学脳神経外科では,高精度の診断を行なっております.通常のCT,MRIやSPECTによる画像診断のみならず,様々な核種を用いたPET検査,最先端のビデオ脳波モニタリングなどを行なっております.また,これらを科内や複数科でのカンファレンスを通じて検討することで,確かな診断を行なっております.

その上で,最先端で幅広い治療を提供しております.手術用顕微鏡手術,脳血管内治療,神経内視鏡手術,機能的脳神経外科,てんかん外科,シャント術,ブラッドパッチ,放射線治療,化学療法などの様々な治療の選択肢から患者さんに最適な治療を提案いたします.このような方針で,私たちの展開する2大学病院での手術実績は日本でトップレベルを維持しております(手術・診療実績をご参照ください).

これらを各分野の専門医が一貫して行ない,他科医師や様々な職種を含めた専門的なチーム医療を展開しております.

セカンドオピニオンについて

当院では脳神経外科分野の各疾患について専門医によるセカンドオピニオンを受け入れております.現在は様々な治療オプションがあります.患者さん・ご家族の価値観に沿った治療方針を相談し,納得した治療を選択するためサポートをいたします.

セカンドオピニオンを希望される患者さんは「横浜市立大学附属病院 患者サポートセンター」にお問い合わせください.

横浜市立大学医学部附属病院 患者サポートセンター
045-787-2800(病院代表) 045-787-2866 (FAX)

機能温存・安全性確保のための先進的技術

専門領域に精通した高い技能と,安全で患者さんにとって優しい(低侵襲)な治療は,私たちの治療の根本です.その上で,根治性(病気を完全に治す)と安全性とは時にトレードオフの関係にあります.その中で先進的技術を使用し,最大限の機能温存,安全性確保に努めております.

画像誘導支援(ナビゲーション手術)

当科では,術前画像をコンピューター技術で融合し,術前シミュレーション及び手術中の病変の同定や神経や血管の温存に役立てています.

コンピューターシミュレーション画像
左:脳神経と動脈・静脈の関係を3D融合画像で術前確認する 右:脳ヘラで右前頭葉を挙上して頭蓋底に至るシミュレーション

頭蓋底腫瘍などの摘除では,重要な血管や神経が腫瘍の中を貫通していたり,裏側を走行していることが比較的多く見られます.脳に浸潤する腫瘍においてはその境界を見極めることは比較的難しく,脳深部の腫瘍になればなるほど困難になります.

手術前のMRI,CT,PETや神経機能(神経束)を統合し,手術中に赤外線カメラで術野と連動させる技術(ナビゲーション)を用いることで最大限の腫瘍摘出と機能温存の両立の達成に大きな役割を果たしております.

ナビゲーションシステム

さらに,経鼻的手術においても,進入方向や深度を正確に知ることができ,どの程度の腫瘍が摘出されているかを知ることができます.

電気生理モニタリング

麻酔中であっても脳・神経機能を最新のコンピューター装置を用いて推測することが可能となっております.

電気生理モニタリング
左:32チャンネルモニタリング 右:顕微鏡手術

病変周囲の脳や神経の機能を温存することは成績向上の為に非常に大切です.当科では,手術中の神経モニタリングを導入しており,あらゆる神経機能の術中評価が可能です.視神経周囲の腫瘍や顔面神経周囲の腫瘍では,目を光で刺激して視神経が温存されているか(視覚誘発電位),顔面神経刺激によって顔の筋肉を動かして機能が温存されているか確認しながら安全な腫瘍摘出が可能です.

また,手足の運動機能も知ることができ,障害が生じないように手術を調整することが可能となります.ナビゲーションによる解剖学的位置を指標に直接神経線維束を電気刺激(皮質下運動誘発電位)することで運動神経との位置関係を予測し,かつ皮質刺激運動誘発電位を同時に測定することで運動線維の損傷を防ぐとともに最大限の病変摘出を図るよう工夫しております.視力・眼球運動・聴力・顔面神経・嚥下の神経・舌の神経など,ほぼすべての神経機能を手術中に知ることが可能です.

蛍光血管撮影(ICG蛍光撮影)

病変の部位によっては,病変に脳の血管が巻き込まれることがあり,これらの重要な血管を最大限維持することは,手術による合併症を減らすために重要なことです.当科では,最先端の顕微鏡を導入してレーザーを術野に照射し,静脈内に投与したICG(インドシアニングリーン)といわれる物質からでる蛍光を可視化して,術中に血管撮影を行う方法を導入しています.

術中蛍光診断(化学的ナビゲーション)

術中に蛍光診断が可能となりました.

術中蛍光診断 (5-ALA)

近年の研究により本来体内に存在する5-アミノレブリン酸 (5-ALA) を投与することで悪性度が高いグリオーマを中心とした脳腫瘍に特異的に取り込まれることが判明しております.5-ALAを手術直前に投与し,特殊なフィルター装置が内蔵された顕微鏡で観察することでこれらの腫瘍では蛍光を発します.この原理を利用し術中に蛍光診断が可能となりました.

この技術を活用することで腫瘍の摘出度が向上した結果を踏まえ,当施設でも術中蛍光診断を積極的に活用し腫瘍摘除を行なっております.

覚醒下手術

電気生理モニタリングの発展により特に運動機能の温存率は大きく向上しました.一方で言語機能や大脳高次機能については全身麻酔中の評価は現状では困難です.これらの機能を温存するためには,機能部位の同定と温存のためのアプローチが不可欠です.

麻酔技術の進歩により安全な覚醒下手術が可能となっております.手術中に麻酔薬を適切にコントロールすることで痛みなどの不快感を伴わず覚醒状態が得られます.手術中に言語機能を評価しながら,大脳皮質を電気刺激することで安全な領域や危険な領域が判明します.これにより言語機能を温存しながら手術を行うことが可能となっております.さらに最近では大脳皮質だけでなく言語関連線維近傍でも同様の評価を行うことで,より安全に最大限の病変摘出が可能になりつつあります.

この手術は病院の総合力が要求されるといえます.大学病院ならではの充実した資源を最大限活用しチーム一同創意工夫を図っています.