教授挨拶

知と技のプロフェッショナルとしての精神を継承し発展

私たち横浜市立大学脳神経外科は人口370万の市民が居住する政令指定都市横浜,930万人の住む神奈川に2つの大学附属病院施設と30の協力施設を展開するグループです.横浜で医師となり学び脳神経外科の道に進んだ者,医学部卒業後に横浜に集い臨床研修や基礎研究に取り組んできた者,第一線の基幹病院やクリニックを展開する者.私たち横浜市立大学脳神経外科教室では,それぞれが連携し,地域の一般脳神経外科診療から救急医療・高度医療を担い,そして時代を超えて維持・発展させていくことを目指します.

横浜市立大学脳神経外科は昭和48年に開設され,初代 故桑原武夫教授(昭和48年11月着任),第2代 山本勇夫教授(平成4年5月着任),第3代 故川原信隆教授(平成20年4月着任)に続き私が第4代目(平成29年5月着任)となります.私たちは脳神経外科学の知見に精通するとともに高い水準の手術手技を維持し,どのような条件下でも常に診療に最適解を求め,より高いところに向かって新たな取り組みを続けます.

国際都市横浜と神奈川で必要とされる専門診療と地域連携

脳神経外科では,頭痛・めまい・しびれやケガの診療(プライマリケア)を行う医師に加え,カテーテル治療や脳・脊髄腫瘍の顕微鏡手術,てんかんやパーキンソン病の外科治療など様々な分野において最新の治療機器を導入して行う専門医が必要です.私たちは神経外傷,小児神経疾患,脊椎・脊髄疾患,脳血管障害,脳腫瘍,てんかん・機能脳神経外科疾患といった各領域の専門医を育成し,プライマリケアから専門診療に対応できる診療・連携体制を構築します.

脳神経外科診療においては,センター化された大型の専門施設が地域の施設と相互に連携することが重要です.その一方で,東西に多くの医療圏を持つ横浜・神奈川では,脳卒中や外傷といった急性期治療はそれぞれの地域で完結することも同時に必要とされます.私たちは,こういった社会的要請に応えるシステムづくりに取り組んでいきます.

アカデミックでグローバルな視点をもつ脳神経外科医の育成

横浜市立大学とその関連施設では現在同門160名の脳神経外科医が診療を行う中で,19名の研修医が脳神経外科専門医取得に向けた後期研修を行っています.昨年は5名の新しい脳神経外科専門医が誕生しました.2つの大学附属病院では常時10名の医学生が実習に参加し,学会発表さながらの実践的なプレゼンテーションや英語科学論文の抄読,英語でのカンファランスなどを取り入れています.また,大学附属病院の実習を行いながら,大学外の第一線病院で診療を行う脳神経外科医からのレクチャーを受けることができ,さらにこういった関連教育施設での実習も充実しています.横浜・神奈川ならではの充実した教育研修施設で特徴のある実習・研修をうけられるように準備されています.

診療についての基本的な考え方−高難度治療と合併症について

私たちは特定機能病院にある脳神経外科として,地域からご紹介を受け,高度な治療,高難度な治療を行う,最後の砦としての役割を担っています.専門領域に精通した高い技能と,安全で患者さんにとって優しい(低侵襲)な治療は,どこの病院であっても重要視されます.低侵襲な治療について,近年はナビゲーションやモニタリングなどの最先端手術支援機器がとかく強調されがちですが,医学的知識も価値観も異なる患者さんと私たちがどのくらい治療の現状やリスクの情報を共有できるかがまず大切であると考えています.また,インフォームドコンセントを尽くした上でも,実際の外科手術では執刀医だけに専門的判断がゆだねられる緊張度の高い場面は少なくありません.根治性(病気を完全に治す)と安全性とは時にトレードオフの関係にあります.riskを伴う場面に遭遇した時,すべての執刀医が “point of no return” を適切に判断して,患者さんのための医療が行えるよう指導しています.